老舗の教え

老舗の教え

月刊情報誌『経営情報』に玉水屋が紹介されました。

月刊情報誌『経営情報』の連載記事「老舗の教え」(2012年1月号)にとり上げられた玉水屋の記事をご紹介。

〔図版=月刊誌『経営情報』-老舗の教え(2013年1月vol.488)-株式会社玉水屋-より〕

確かな知識と技術で客の信頼を得る眼鏡店

 今から約260年前、江戸時代中期の1751(宝暦元)年に、現在の愛知県名古屋市で創業した眼鏡専門店の株式会社玉水屋。8代目当主となる代表取締役社長の津田節哉氏は、昨今の安売り路線とは一線を画し、眼鏡の専門知識と技術の確かさにこだわっている。老舗眼鏡店が大切にしている経営の真髄とは?

安売りとは一線を画し 丁寧な対話と検査を貫く

 南蛮貿易の拠点港として栄えていた長崎と名古屋を往復し、当時としては珍しかった舶来品の数々を仕入れてくる。それが、1751年に京都から名古屋に移住した株式会社玉水屋の初代、千歳屋佐兵衛の仕事だったという。

 佐兵衛は、後に玉水屋の屋号を掲げることになる家業の小間物店を営むと同時に、当時の名古屋の豪商に見込まれ、交易係としても働いていた。

 「当時の長崎では、見たことのない舶来品が取引され、活況を呈していたと思われます。その中にオランダ製の眼鏡も含まれていたのではないでしょうか。長崎は早くに眼鏡の製作技術が伝わった土地でもありますから」

玉水屋八代目当主津田節哉

 そう語るのは玉水屋の現代表取締役社長、津田節哉氏だ。眼鏡自体はそれからさかのぼること約200年前の16世紀半ば、宣教師のフランシスコ・ザビエルが周防国(現山口県)の大名、大内義隆に献上したのが、日本に伝わった最初のものとされるが、江戸時代はまだ、庶民が手軽に入手できるものではなかったようだ。

 当時の玉水屋が扱っていた商品は巾着などの袋物や煙管、宝飾品など。そして、いつのころからか定かではないが、眼鏡も商品のひとつとして取り扱うようになり、文明開化の明治時代以降、本格的に眼鏡の商いを始めるようになったという。

 明治期に入ると、つる付き眼鏡やバネ式鼻眼鏡などさまざまな眼鏡が輸入され、また国産品の製造も盛んになっていく。人々は単なる実用品としてだけではなく、装飾品としての価値をも見いだすようになる。

 明治から昭和にかけて市場が拡大する中、眼鏡専門店として業容を拡大していった玉水屋。「当時の『玉水屋精神』を記した店員手帳が残っているんです。今日に通じる当社の精神がそこにはっきりと記されています」と津田氏。

 1939(昭和14)年のその手帳に記されている「玉水屋精神」の一部を抜粋しておこう。

 「玉磨かざれば光なし。日々の業務に努め励むことは自己のためであり、社会のため」

 「客に対して親切、丁寧に処して迅速正確は信用の基である」

 そんな老舗眼鏡店を守り続ける津田氏は日本の大学を卒業後の1969(昭和44)年、アメリカに渡り、南カリフォルニア・オプトメトリー・カレッジに6年間留学。さまざまな知識を修得して当時日本では3人目となるアメリカのオプトメトリスト(眼鏡学博士)の資格を取得した経歴を持つ。こうした確かな知識を修得したことが、現在の津田氏の経営に対する姿勢の裏付けとなっている。

 「眼鏡は視力を守り、快適な≪視生活≫を送るための医療用具。単なる雑貨やファッションの道具ではありません」と津田氏。そんな信念から、2000年には公益社団法人日本眼鏡技術者協会会長に就任し、確かな知識と技能を持った眼鏡技術者を「認定眼鏡士」に登録する試験制度を創設した。

 自身の店舗にも3人の認定眼鏡士を置き、一人一人のお客様との対話や検査に時間をさく。「その人が求める視力と、仕事、生活環境、趣味なども勘案して、どの度数がいいのか、多数のレンズの中から選択する。さらにフレームの選択やお顔に合わせる加工技術など、求められる知識・技能は多岐にわたります」と津田氏は強調する。

 さらにアフターフォローにも万全を期し、お買い上げ後の相談や修理、時にはレンズの交換にも無料で応じることがある。「玉水屋精神」にある「客に対して親切、丁寧に処して迅速正確」を身をもって実践しているのだ。

 勢い、価格は大型チェーン店に比べて高めになるが、「自分の目と顔にフィットした眼鏡」を求める多くのお客様がリピーターになっているという。

 「常に勉強して新しい知識を修得してお客様に還元する。これからもそうした姿勢を貫きたい」と津田氏。お客様に対する徹底した真摯な姿勢で、300年企業への道を歩んでいく。


名古屋市中心部にある玉水屋の店内

 名古屋市中心部にある玉水屋の店内。「サービスが行き届かなくなる恐れがあるので、支店は置きません」と津田氏。


玉水屋が所蔵する明治~大正期の眼鏡

 玉水屋が所蔵する明治~大正期の眼鏡。自社ホームページでは日本の眼鏡の歴史も紹介している。


写真は月刊誌『経営情報』取材時の様子

 「いい眼鏡を長く使いたいというお客様に奉仕したい」と話す津田氏。

〔写真は取材時の様子:2012年10月16日〕


月刊誌『経営情報』(2013年1月号)表紙


 月刊『経営情報』(発行:株式会社星和ビジネスサポート)は、日本生命保険相互会社様が顧客サービスとして配布している月刊誌で、1989年に創刊されました。

 オピニオン・リーダーや会社経営者、団体の長のみならず、従業員の方や一般の方をも対象とした読み物を連載しています。


tamamizuya

「老舗の教え」だなんて、…大変おこがましい。すみません。