開設にあたって|玉水屋電子資料館

開設にあたって

一企業における歴史と文化

玉水屋所蔵古眼鏡

 老人力…。この言葉の意味はとても深く、広義にわたるものではありますが、狭義に捉えて「物忘れすることができる能力」であるとするならば、玉水屋もまた、すっかり「老人力」のついた企業であるといえるでしょう。なにしろ、玉水屋の250年という歴史はあまりにも長く、そのすべてを語ることなど、到底できるはずもないのですから…。

 しかしながら、玉水屋のこの「老人力」のみが、過去の歴史を忘却、あるいは消失へと追いやったわけではありません。それは、玉水屋が今日に至るまでに幾多の天災や戦災を経験してきたことに起因しています。玉水屋はこれらの困難な歴史に遭遇するたびに、その貴重な資料を失ってきました。とくに先の大戦では、「名古屋城炎上」に象徴されるように、空襲による文化的破壊行為の傷跡は深く、玉水屋の被った打撃もまた、その例外ではありませんでした。玉水屋の歴史をひも解く貴重な資料の大半を失ったのも、まさにこの時であるといえましょう。

 それでもなお、このような困難な歴史にも耐え続け、今日の玉水屋に残された資料があります。このことは、まさに奇跡であるといっても過言ではないでしょう。そして、これらの残された資料にスポットをあててみることから、この玉水屋電子資料館構想がはじまったのです。

玉水屋所蔵古竹工芸品

 それでは、玉水屋電子資料館に課たされた役割とは何でしょうか・・・。

 それは、玉水屋に残された資料を集大成し、文化という新たな視点からその歴史を捉え直し、玉水屋の一企業としての役割が何であるかということを自問自答することにあります。

 今はまだようやく出発点にたどり着いたばかりですが、今後この試みが多くの閲覧者の皆様にとりまして、何らかの有意義なものになり得ますことを、いささか勝手ではございますが期待する次第でございます。

 なお、現状では不備な点が多々ございますことを心底恥じ入る次第ではございますが、玉水屋の「老人力」に免じて、何卒御容赦いただければとあらかじめ謹んでお願い申し上げる次第です。 (1999年 秋)

〔図:明治・大正・昭和初期の古眼鏡類/古竹工芸の印籠・根付類〕


tamamizuya

よろしくお願い申し上げます。